中田元司さんの丸亀竹うちわに星江美さんが楮和紙に摺った木版画を使用した丸亀うちわです。
涼しげな金魚をモチーフにしたスリムなうちわです。
江戸時代に「武士の内職」として始まった丸亀のうちわ作りは、明治時代以降、「家内工業」として大きく発展を遂げ、その技は脈々と引き継がれてきました。現在の生産量は全国シェアの約90%を占め、平成9年には国の伝統的工芸品にも指定されています。
純国産うちわとして竹骨から丸亀で製作しているのは、現在3件を残すのみとなってしまったのだそうです。
その一人である職人、中田元司さんのうちわ作りは、山に入り、竹を切るところから始まります。田畑の側の肥沃な土地や、川近くの水分を多く含む土地に生える竹は、柔らかくもろい肉質でうちわには向かないのだそうです。山奥に生えるしっかりした繊維の弾力ある竹を使用しないといけません。
本来、うちわ作りはすべてが手作業のうえ、数多くの工程に分かれるため、分業の体制で行なわれるのが基本でした。しかし、中田さんは、骨作りから紙貼りにいたるまでのすべてを、一人でこなします。
各地からの注文や得意先の要望を聞きながらの製作でもあり、1ヶ月間に作ることができるうちわは、せいぜい200本程度とのこと。工程のどこか一部だけでも人の手にまかせられれば楽なのでしょうが、いつも納得のできる仕上がりを目指すには、やっぱり一人が一番なのだそうです。
うちわの製作工程を大まかに説明すると、まず、うちわの全長分の長さに切られた竹を17ミリほどの幅に割り、さらにその先端へ穂(紙貼りされる細い骨部分)となる切り込みを入れていきます。1本の柄に32〜36本の穂が付くように、等間隔に切り込んでいく作業は、まさに職人の技と言えるもの。目にも止まらぬ速さで進んでいきます。
次に、穂が広がるように糸で編んだら、左右均一になるようにかたちを整えながら糸を綴じ付けます。この作業は「付け」と呼ばれ、骨作りの中でもっとも難しい年期のいる仕事です。
狂いのない竹骨の繊細さと美しさに見惚れながら、この技術が途絶えることは、けっしてあってはならないことと痛感してしまいます。
その後、穂に糊をつけ紙を貼ります。乾いたら鋏または刃型でうちわの形状にカットし、周囲をへり紙で巻くとほぼ完成に近づきます。
実際には、まだまだ細かい作業が付随していて、1本のうちわができるまでには、実に47にものぼる工程があると言われています
サイズ:幅約17×長さ約35cm
材質:楮和紙、真竹
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